たからものはなんですか?
(2008.7.27)


自分のたからもの
それは 写真のギター






YAMAHA LA−58R

まあ自分のギターはすべてたからものだけれど
このギターは特別だ


カスタムギターというものなので特注品・・・ということになるのだろうか


といっても このギターは
自分が注文して
特別に作製してもらったというのではなくて
欲しいと思ったときは
既に生産中止となっていたので
自分は中古市場で このLA−58Rを 入手した


今から3年近くも前のことである


このLA−58R購入で
自分は実に
かなりたくさんのことを学んだ


LA−58Rは
自分の2ヶ月分くらいの給料に相当したため
あの時は
買うのにかなりの決心を要した(^^;)


YAMAHAのLAシリーズのギターは
自分にとって憧れのギターであり
最初はLA−38Jという
発売当時の価格が22万円(1994.10〜2002.10まで生産・販売)
中古市場ではその当時13万円くらいのそのギターを捜していたのだが
これまた
前回のエッセイで書いたFG−500のように
なかなか 市場にでてこない


それで 痺れをきらし・・・というか
その兄貴分に相当するような
カスタムであるLA−58R(1996.04〜2004.04まで生産・販売)の購入を考え始めたのだった


あの頃
自分は中古ギター購入のノウハウというものをまるで知らなかった


インターネットにより大阪のギターアー○という
知る人ぞ知る
大阪では結構有名と思われる中古ギター屋に問い合わせて
いろいろ聞いてみた

その店にLA−58Rがあったのだ


中古楽器購入に際して
あの頃の自分は
ネックの反りがあるかどうかくらいしか質問できず
店の人はその質問に対し
ネックは全然問題なく かなりの美品だし
将来的なネックの反りとかを考えると
LA−38Jよりも絶対LA−58Rですよ!とのこと
(価格を考えれば 売るほうは LA−58Rを売りたいはずだ・・・^^;)


それで
そんなセールストークにその気になったわけではなかったが
本来なら 現物をみにいくべきところを
大阪はちょっと遠いので
店を信用して現物はみずに購入を決心し
支払いは分割払いで お願いして
清水の舞台から 飛び降りたのだった(^^;)



到着の日のことは忘れられない



しっかりしたダンボール梱包のなかに
LA−58Rを収めたケースが入っていた


それを紐解き あけてみると キラキラ輝くLA−58Rが・・・☆


しかし・・・


ケースからだして 弾いてみると・・・


この世の中に
これ以上 弾きづらいギターが存在するだろうか・・・と
おもうほどの 弾きにくさ


弦高が通常の二倍はないけれど
とにかく めちゃくちゃ高く
弦の張り(テンション)も おそろしく強いギターなのであった


それで
ネックを調べてみたが
素人目にも確かにネックはまっすぐ


これが そもそも LA−58Rというギターなのだろうか・・・と

しばらく考えてしまった


いや しかし そんなはずはない!!
こんな弾きにくいカスタムギターなんておかしすぎる!!と思って
頭にきたので 返品してやろう!!と思ったが
LA−58Rは ほんと美しく
確かにものすごく弾きにくいのだが
音色はすばらしいギターだった


それで
だまされたようで 腹立たしかったが
店に文句を言うのはやめて 
こうなったら 自分の手を このギターにあわせてやる!!・・・なんて
今考えると
自分でもおそろしいほどのプラス思考で
それから毎日
この弾きづらいLA−58Rとの格闘の日々がはじまったのだった(^^;)


ほんとうに弾きづらいギターで
テンションがものすごく強いので
押さえる指もすごく疲れる


あの頃の弾きこみで
かなり指の力は確かに鍛えられた(^^;)

1時間も 弾いていると 指も手も クタクタになっているのだった


自分がこのギターが
こんなにも弾きづらい その理由を知ったのは
購入してから 半年後くらいのことだった


LA−58Rをみた友人が
「トップが少しへこんでるぜ」・・・と
ひとことつぶやいたのだ


そうか そうだったのか


ネックはまっすぐだったのに
弦高がものすごく高いのは そのせいか・・・と
今さらながら
店の主人が いまいましく思えた


こんな状態に気がつかなかったはずがない

悪い状態のものを売るな!とは言わない

悪いなら悪いなりに
そのぶん 値段を下げて売るべきではないか
中古市場には 暗黙のルールのようなものがあるが
そのルールに反していると思った

それを さも完璧なものであるといった値段で売るなんて・・・


自分はまんまと だまされたのだった
でも この世の中 だまされるやつが バカなのだ


そして そんな原因を知った時は
既に購入してから半年もたっていた


自分がバカだったんだな・・・と つくづく思った


インターネットで写真をみただけで
ギターを買うのは
特にそのギターが高価な場合には 危険なことだ、、、と
そのとき身にしみてわかったのだった


確かに弾きづらいけれど
LA−58Rは ほんと すばらしい音色だし
このまま自分の手元に残していこう・・・と
そんなふうに自分を慰めていた


しかし、、、


悪いことは続くものだ



それから 町のギターショップに
ギターの弦を買いに行った時に
LA−58Rの弾きにくさについて
店の人と少し話をしていたら
弾きやすく調整してくれるというので
調整をお願いしたのだが、、、

調整してもらい 
確かに弾きやすくなったのだが
なんと!
あのすばらしい音色が
消え失せてしまったのだった・・・


もう自分が情けないような
LA−58Rに申し訳ないような・・・

そんな気持ちで
それからの日々を過ごしていた


しかししかし


まだ神(そんなもんいるんだろうか?^^;)は
オレを見捨ててはいなかったようだ


インターネットで ギターのリペアというものの深さを知り
そして 昨年の夏の終わりに、いや秋頃だったろうか・・・
『ギター工房 オデッセイ』の存在を知る





この工房に すがるような思いで リペアをお願いした
そうすると 何と! 春まで待っていただきたいとのこと!!

予約がいっぱいとのことなのだ・・・

すごい すごすぎる・・・


自分としては
すぐにでも LA−58Rをなおしてほしかったのだが
ここは 我慢我慢!!と
今年の春まで 静かに
連絡を待つことにしたのだった








そして・・・
春になり
工房のマスターから待ちに待った連絡がきた


すぐさまギターを送り
期待で胸をワクワクさせながら
LA−58Rの帰りを待ちわびた


すると・・・
1週間もしないうちにLA−58Rは帰ってきた


「手のほどこしようがない・・・」とか
まさか そんなことでは・・・と
一瞬不安になったりしたのだが、、、
そんな心配は不要だった


帰ってきたLA−58Rは まるで別人?のように
弾きやすいギターに生まれ変わっていたのだった

そして 失われた音も 鮮やかに蘇っていた♪


音が蘇っていたことは
リペアが終わってかえってきたギターの
チューニングをしているときにすぐにわかった


音量も
ものすごく豊かになっており
そしてチューニングもピタリと決まる!


そんじょそこらのギターにはでない
特別なLA−58Rの音が 全開になっていた


失ったものが すべて戻ってきたよろこび・・・


まさに そんな瞬間だった
(LA−58Rのリペアの場面は工房のホームページで公開されてます





LA−58Rを買ってから このよろこびの瞬間まで いろんなことがあった


中古ギターを買うときは
ネックの反りだけではなく

サドルの余裕

ネックに波うちがないか

ペグ(糸巻き)はちゃんと動くか

フレットは残っているか

トップはへこんだり 膨らんだりしていないか、、、等々


チェックすべきところがたくさんあるということを知ったのだった


もちろん中古ギターを購入する場合
チェックポイントをすべて満たしている必要はなく
購入してから自分で治せる部分については
購入後に修復可能かどうかを
チェックすればいいと思う



思えば高い授業料だったが
でも貴重な体験だった






LA−58Rはトップはもちろん
側板も裏板も美しい







これを柾目というのだろうか


良質の木が惜しみもなく使われているようだ







トップは スプルース単板

サイド・バックは インドローズ単板

棹はマホガニーで指板・下駒はエボニーである


インドローズにもきっといろいろあって
カスタムギターには
インドローズの中でも
特によい高級品が使われているのだろう



いろいろ欲しいギター
欲しくなるギターは あるけれど
ギターが増えると
やはりひとつひとつのギターを弾く時間は減ってしまう


ギターからみれば
たくさん弾いてもらえることが
いちばんシアワセなはずだ


先日
自分はYAMAHAのFG−450を買い
所有するギターは全部で4本になった


もうこれが限界・・・か・・・と思うけれど
ギターというものも奥が深く
木材の種類だけ
ギター職人の数だけ
音色がある・・・ように思える・・・(^^;)


でもまあ
あと1本くらいなら・・・

いや あと2〜3本くらいは
いいかなあ・・・?なんて(^^;)





END



<オマケ>

YAMAHA LA−58Rの音が聴けます♪

3年前、、、まだLA−58Rが弾きづらかった頃に録音したものです

今では貴重な音源となりました(^^;)





P.S.最近『ギターのコーナー:Guitars』を新しく作り
自分のもつギターのことを少しずつ書き始めましたので
よかったらホームページトップから
Guitarsのところをのぞいてみてください(^^)



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