『夜のカフェテラス』(2005.05.29)
芸術・・・といえばやっぱり『秋』なのかもしれませんが
先日のとある春の午後
秋になっても特に芸術なんてものとは無縁の自分が
テレビを見ていて一枚の絵に惹き付けられて
そして
その絵の本物を実際に自分のこの目で見てみたい!!・・・なんていう
はじめての衝動?のようなものに駆り立てられた・・・というのが
今回の事件の発端です(前回と同じパターンになってしまった^^;)
その日が
土曜日だったか日曜だったかは忘れましたが
何気なく見ていたテレビで
東京で開催中の『ゴッホ展』の紹介のような番組が始まりました
ゴッホといえば『ひまわり』とか『種まく人』とかが有名で
そしてそして「耳きり事件」といえば
もうゴッホの代名詞のような感じですが
自分がゴッホに関して知っていることと言えば
その程度で
他にはどんな作品を創りだした人なのか・・・とか
ところでどうして耳を切ったのか?・・・とか
誰かに聞かれたら
ゴッホのことについて詳しいことは何も答えられない・・・というレベルでした
その番組で
ゴッホという人がどういう人生を歩んだのかがわかり
そしてどうして耳を切るようなことになったのかもわかって
そして
その番組の中で紹介された一枚の絵
『夜のカフェテラス』
・・・という絵が
なんだかとても気になって
そしてゴッホという画家のことも
急激に気になりはじめたのでした
その『夜のカフェテラス』
というのはこんな絵です
☆(←クリック!!)
ゴッホがこういう絵を書いていたなんて
まるで予想外(想定外のほうが今っぽい?^^;)だったこともあり
まあ自分がものを単に知らないだけだったんですが
とにかくとにかく
その絵の実物をこの目で見てみたくなり
こういったことは生まれてこのかたはじめてのことだったので
「ここはひとつでかけてみよう!」という気になりました
それでネットでゴッホ展のことを調べてみると
東京での展覧会は5月22日(日)までとあったので
最初は21日(土)に行こうと思っていましたが
ここのところの疲れが押し寄せてきていたこともあり
土曜日は起きたら昼過ぎだった・・・(^^;)なんてこともあり
結局
最終日の22日にでかけていくことになりました・・・というか
もうその日に行くしかない!!という状況になったわけです
今回のゴッホ展はかなり好評のようで
実際に行ってみたという人にも話を聞いたところ
「ぜひ行くべきだ!」とのことでした
東京へと向かう電車の中では
「まあ、今日で最終日だし
オレみたいな暇人もそう多くはなかろう(^^)」
・・・なんて余裕をかましていたのです
『が!!!』
日本は暇人だらけのようでした・・・(^^;)
今回の会場である東京国立近代美術館に着いたのは
ちょうどお昼頃でしたが
ほんとひっくりかえるくらいびっくりしました
なんとなんと大行列ができており
係員のもつ大きなプラカードのようなものには
なんと
『現在の待ち時間3時間!』とあって
あまりの予想外の出来事にまじで少し固まってしまっている自分がいました
「最終日だっていうのに・・・!!」
なんてわけのわからぬつぶやきとともに
チケット売り場へ行くと
そこにもまた係員がいたので
「3時間なんてちょっとハッタリ入ってますよね」と
明るく聞いてみると
「入ってません!!」とキッパリ!!
さらにこの大行列は
これまでの週末の様子からすると
今日も閉館まで続くであろうとのことなので
もうここまで来たからには
例の絵を見ずして帰るわけにもいかず
チケットを買い求めその大行列に並ぶことにしました
しかし
チケットを買って
その大行列に並ぼうと歩き始めると
今度は列の最後尾に
歩いても歩いてもなかなかたどりつけず
角を曲がったりなんかもして
美術館から何処まで遠ざかるんだ!?というくらい
その大行列は延々と続いていたのでした
列の最後尾につくまで数分歩いたと思います
「3時間待ちとはこういうことなのか・・・」と
これからの3時間を思うとほんとに気が遠くなりそう・・・
まさか
こんなことになるとは
本当に予想外で
自分としては
1時間くらい絵をみたらどこかで昼飯にしようなんて思っていたので
朝から何も食べていなかったし
おまけに飲み物ももっておらず
読む本や雑誌ももっていない
大行列のすぐ脇では
あの場所にこれ以上不似合いなものはないだろうと言えるような『焼き芋屋さん』が何故かいて
買って食べている人たちもいたが
そんな大行列に並びながら
芋なんか食ったらえらく負けたような気分になりそうだったので
ほんと猛烈な空腹だったけど
じっと我慢(食っときゃよかった^^;)
しょうがないので
携帯電話から
その場の状況を
このHPの掲示板に書き送ったりしながら
なんとか時間を潰しました
(あの掲示板への書き込みは消しちゃいましたが
読んでくれた方、どうもです^^)
最初の予報?どおり
やっぱり入場できるまでには3時間くらいかかりました
(2時間50分くらいだったかな^^;)
まあまあ
予期せぬ大行列でしたが
ようやく入場となったわけです!
今回のゴッホ展は
ゴッホの作品性の変遷が素人にもよくわかるように
作品が展示されていました
テレビで仕入れた情報をもとに
簡単にちと説明のようなものを交えて報告いたしますと
ゴッホの最初の職業は画商だったそうなんです
しかし
当時のオランダでは牧師が美術を含む文化活動のリーダー的存在だったため
画商をやめ牧師になろうとしたそうですが
うまくいかず
そして時代も牧師がそういった文化的リーダーを演じる時代が終わりを告げたために
画家へと転身したとのこと
ゴッホの初期の作品は黙々と働く労働者を主として題材とした作品が多くて
今回のゴッホ展もその初期の作品からはじまっていました
初期の作品は当時の芸術とは正反対の『闇』が支配する芸術で
見ていて確かに明るい色は使われていません
でも
そういった初期作品も後半に移行するにつれて
わずかに描かれている光の部分が主体である暗部をより明確にする・・・といったような効果が
はっきりと見て取れて
初期作品も確かに今回のような並べ方をしてもらうと
ゴッホの意識の変化のようなものが見ているほうにとてもよくわかるようになっていました
そんなゴッホの闇の芸術の時代は
印象派の影響でガラッと変わります
もうそれは作品を見ていけばほんと明らかで
たとえばこの自画像(→☆クリック!)は
自分もそうでしたがもう見に来てた人もみんな足を止めて
見入っていましたが
これでもか!というくらいに
輝きまくっていて
写真では絶対にあの輝きはわかりませんよ!
もう金粉をまぶしてあるんじゃないかと思うくらい(まさかほんとにまぶしてないよなあ・・・^^;)
鮮やかな色使いなんです
その自画像に唸っておりますと
いよいよ今回の目玉とも言える『アルル時代』へと作品は移っていきます
アルル時代というのは印象派の影響で光を得たゴッホが
芸術家のユートピアを創ろう!と夢にあふれていた時代なんだそうです
ゴッホは芸術家が集団で生活しながら互いの生活を支えあうという
そんなユートピアの創生をめざしました
ゴッホはそのユートピアのリーダーは自分ではなく
ゴーギャン以外にはありえないと考えていたそうで
そのゴーギャンとの共同生活がはじまります
その拠点となったのが黄色い家で
アルル時代の作品を見ていくと
『種まく人☆(←クリック!』につづいて
その『黄色い家☆(←クリック!)』が展示されていました
『種まく人』はすんごいパワーが伝わって来る作品で
ほんとこれも写真じゃわかんないとおもいます
『黄色い家』は
これからはじまる「ユートピア創生」という夢の暮らしに
わくわくしながら描いていたんじゃないかな?なんて思います
そしてそして
ついに御目当てのあの絵『夜のカフェテラス』の登場です
☆(←クリック!!)
どうしてこの絵が見たくなったのかは
やっぱりわからなかったけれど
近くから
そして遠くから
1時間くらい見入ったり眺めたりしていました
この絵が描かれたのは1888年というから
もう今から100年以上も前に描かれた絵なんですね〜
どうしてこの絵にあんなにも惹きつけられたのか
ほんと不思議です
高いお金をだして絵を買う人の気なんて
永遠にわからないと思っていたけれど
そういう人の気持ちが少しわかったような気になりました(^^;)
歌を好きになるように
絵も好きになれるものなんだなあ・・・と
芸術なんてよくわからないけれど
歌とか絵とか
そういう垣根のようなものはやっぱりないようです
ところでところで
ゴッホのそのようなユートピア構想は崩壊してしまい
有名な「耳きり事件」と相成ります
展覧会の作品はその後の養老院へ入院してからの
「模写の時代」の作品、そして「最後の風景」へと移って行き
THE END となりました
アルル時代以降の作品は
力強い作品ももちろんあるんですが
なんだかゴッホが急に老人になってしまったような感じです
なんだか見ていてやるせないというかせつないというか
そんな気持ちになりました
「光」を獲得して
あんなにすばらしいものを手に入れたのに
いっきにそれらを失って
それを必死で取り戻していくような
そんなふうに自分には見えたのかもしれません・・・
まあまあ
そんなわけで
絵の展覧会なるものに
はじめて自発的に行ってみたりした今回のレポート(?)だったわけなんですが
今回再び得た教訓的なものは
絵の展覧会へ行って
それを満喫するためには・・・
『足腰を鍛えておくほうがよいでしょう!!』
・・・ということです(^^)
これまでにも何回か誘われて絵を観にいったことはあったけれど
今回のような大行列に並ばないとしても
ズラーっと並べられた作品のひとつひとつをじっくり観ようとすると
ほんと足がくたびれます
今回なんて入場までに
3時間近くも並んだので
これまでの比ではなかったけれどほんと改めてそう感じました(^^;)
予想外の大行列があったりはしましたが
でもやはり実物!
本物をみなきゃだめだなあ
とほんと実感した今回の展覧会でした
これまでは
ゴッホはピカソとおんなじくらい
自分にとっては理解不可能な画家だったけれど
今回の展覧会に行ってみて
なんかすごいなあ〜とほんと思ったし
ゴッホにも謝りたいと思ったくらい・・・(^^;)
絵が実物を見なきゃだめなように
音楽というか歌もやはりライブこそが
いちばんなのかもなあ〜
なんてそんなふうな強引な結び付けのようなものも
最後に少し頭を横切った自分です
絵もいくらでも写真に撮れるし
歌もいくらでも機材を使って録音できるけれども
やはりライブ!
刹那的なものに
刹那的なところにこそ
真実とか芸術なんてものもあったりして・・・
ゴッホ展は
これから大阪、名古屋で開催されるそうなので
そちらに住んでいる方は是非行くべきですよ!
入館料1500円は安い!!と絶対に思うはずです
(思わなくても払い戻しはもちろんいたしませんが・・・^^;)
さらに詳しいことはここをクリックすればわかりますので
興味のある方はどうぞ→☆(クリック!)
今度有名画家の展覧会に
もしも また行きたい!なんて
そんなことがあったら(まず当分ないと思いますが・・・^^;)
今度は絶対に平日に「突然の風邪・・・」ということで
有給休暇を取って行こう!と
固く決意した自分でした(^^;)
END
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