モディリアーニ展リポート
(2008.5.31)


このまえの日曜日(25日)
ずうっと行きたい行きたいと思っていた
東京国立新美術館で開催中の
モディリアーニ展へようやく行ってくることができた



有名なアーチストの展覧会は
週末ともなると
ほんと超満員だったりするので
できれば平日に行きたいと思っていたのだが
このまえの日曜日は朝のうちは雨で
『こんな天気なら ひょっとして今日は人が少ないかもしれない、、、』なんて思い
日曜日だが、でかけていくことにしたのだった


雨はお昼前にはあがり
空はまだどんよりと曇っていたが
もう雨が降る気配はなかった




有楽町で地下鉄に乗り換え
乃木坂駅で降りたのだが
駅の中にもやはりこんなものが・・・







国立新美術館とは
こんなところです(^^)



















モディリアーニ展に際し
あちこちのテレビ局が
モディリアーニの特集番組をやっていたので
ご存知の方も多いかもしれませんが
まずモディリアーニなる人の紹介を・・・

アメデオ・クレメンテ・モディリアーニAmedeo Clemente Modigliani
1884年7月12日イタリア・トスカーナ地方のリヴォルノに生まれたユダヤ系のイタリア人

絵を画きはじめたのは14才の時だったそうです


肺結核を患っており病弱な少年だったらしく
療養で訪れたローマやフィレンツェ

イタリアの古典美術に触れたとのこと

特にモディリアーニの心を惹きつけたのは彫刻だったそうです


そして
このときモディリアーニは
彼の作品の核となるカリアティッドと出逢ったのです


カリアティッドとは
古代ギリシャ建築の梁を支える女性像の柱のことで
モディリアーニは最初彫刻家をめざし
パリで創作活動に入りました










モディリアーニの描く絵はシンプルで
自分がモディリアーニの絵を好きなのは
そのシンプルさも理由のひとつなんですが
彼が最初は彫刻家を目指していた!ということを知ると
モディリアーニの描く線のシンプルさや力強さというのが
少し理解できたような、そんな気になります



彫刻家を志してモディリアーニは
22才のときにパリへやってくるわけですが
その当時のパリでは
エジプトや中央アフリカの原始美術がみなおされていた頃で
あのピカソも自分の作品にそういう要素を取り込んでいた時期があったそうです













ピカソが原始美術に関心を寄せていたのは一時的なことでしたが
モディリアーニは生涯を通じて原始美術を自分の作品に取り込み続けた作家です


彫刻に心惹かれたモディリアーニなればこそ
原始美術の素朴でシンプルな佇まいに心捕らえられたのではないか、、、と思います


モディリアーニの彫刻作品というのがこれです
↓↓↓↓↓↓↓





彫刻作品からして既に『首が長いですね』(^^;)


彫刻家を目指していたモディリアーニは
原始美術に触発され
カリアディッド
のイメージをさらに膨らませて
上記のような彫刻作品をたくさん作り
そのような作品群から成る夢の神殿を作り上げたかったようです


モディリアーニの20代は
彫刻に打ち込んだ時代でしたが
彫刻活動は病弱なモディリアーニには体力的にきつく
また材料となる石が高価なため
経済的にきついという問題もあったらしく
31才の頃に
モディリアーニは彫刻を断念し本格的に絵画の創作をはじめました


そして
彫刻への思いを
キャンバスにぶつけるようにして
一連の『カリアティッド』
と名づけられた独特の作品群が生まれます











カリアティッド』の作品群をみていたときに
なぜか ふっ・・・と
『ウルトラマン』のことが頭を過ぎりました(^^;)





ウルトラマンのモデルは
カリアティッド』だったのではなかろうか?・・・と思ったのです(^^;)



だとすると
自分はかなり以前に間接的に
モディリアーニに触れていたことになります
(世間は狭い・・・^^;)


今回の展覧会では
モディリアーニの作品が製作された順番に展示されており
モディリアーニの人生をなぞるように観て歩くことができました



・パリへやってきた頃の作品

からはじまり

・彫刻活動を経て『カリアティッド』作品群の時代の作品

そして

・晩年の人物画作品群

という具合です



彫刻活動に入る前の絵画作品には
カリアティッド期の作品や晩年の作品に観られるような
独特なフォルムというのはみられません


彫刻作品のために
何枚も何枚も描いたデッサンが
一連の絵画作品『カリアティッド』のベースになったようです


『カリアティッド』を経て
そして晩年の作品群が並ぶ部屋へと会場は
移っていきました


晩年といっても モディリアーニは
結核性髄膜炎のため 35才で死んでしまったので

30〜35才の頃です


本格的に絵を描き始めたのが30才の頃だったから
晩年の絵画の創作期間はわずか5年程度だったんですね

作品が評価されはじめて
成功はもう目の前・・・という時に
亡くなってしまったんだそうです







カリアティッド』の時代以降の作品は
首の長い独特の作品のオンパレードですが
カリアティッド』で自分独自の形を造りだしたモディリアーニには
相当の自信というか
達成感のようなものがあったのではなかろうか。。。と思いました


というのは
カリアティッド』の時代以降の作品は
どれも余裕があるというか
どの作品も安心して観ていられる感じがすごくしたからです


カリアティッド』がものすごく迫力に満ちた作品で
その後だったせいもあるのかもしれませんが
晩年の絵画作品は
カリアティッド』という独特の世界から
また日常に戻ってきたような雰囲気があふれているように感じ
そして
モディリアーニも
のびのびと
絵筆を走らせていたのではないか・・・なんて
そんな気がしました


もっとも
モディリアーニが芸術家として本格的に評価されたのは
死後のことなので
芸術家として評価されないもどかしさや悔しさは
あったと思いますが
それでもカリアティッド』を完成させた以降のモディリアーニの中には
確かな自信のようなものがあったと思います




晩年の作品群は
ちっとも古さを感じさせなくて
それは
やはり他の何にも似ていなくて
ほんとうに独自のものだからなのかもしれません


自分がこれまで目にしてきた漫画とかポップアートの類も
実は密かにモディリアーニの影響を受けていたのかも・・・
なんてこともふと思いました




↑特にこの絵がお気に入り(^^)
実物はもっともっとステキなんですよ!




























・・・とまあ
今回のモディリアーニ展はそんな感じで
ほんとうに期待通りというか期待以上のステキな展覧会でした



モディリアーニが長生きしていれば・・・
たとえば50才くらいまで生きていたら
あと15年分は彼の作品を楽しめたはずなわけで
なんだかもったいないような気がしました



それにモディリアーニだって
自分の成功を実感したかったはずだとおもうし
そんなことも思うと
自分が悔しがるのも
おかしな話ですが
余計に残念な気分になったりしました・・・(^^;)



モディリアーニの絵画作品も
インターネットでたくさん観ることができるし
それに本屋へ行けば
作品集も買うこともできます


でも実物は
やはりそんなネットや作品集で観るものとは
まるで別物です


これは絵の展覧会へ行かないと絶対にわからないことですが
ほんとうにそうなんです


本来なら
飛行機に乗って海外まで行かなければ観ることができない作品群を
日本にいながらにして
観れるなんていうのは
考えてみたらものすごくお得な話でもあります(^^)


その作家がどういう人で
どういう人生を送ったかを知っていると
絵を観るおもしろさは倍増するし
今回のモディリアーニ展は
構成がものすごくわかりやすく
各作品の作製時期のモディリアーニの様子も
かなり詳しく説明されていたので
観て歩いていてほんとうに楽しい展覧会でした



まあとにかくとにかく
今回のモディリアーニ展も
東京では6月9日(月)までやっているので
時間があったら
ぜひ、ぜひ、おでかけください(^^)



自分が観に行ったその日は
天気が今ひとつだったこともあり
日曜日なのに
お昼過ぎ頃の時間帯はそれほど超満員というわけではありませんでしたが
雨が完全にあがった午後になると
だんだん人が増えてきて
かなり混雑してきました


仕事を休めるなら
平日の午前中がやはりお薦めです(^^)


最後に
自分が会場で買ったポストカードの写真を・・・♪





モディリアーニの作品を観て
力をもらって
モディリアーニの分まで
長生きしよう!・・・と思った自分でした(^^)




END




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